介護老人保健施設経営分析レポート
令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移
出典:厚生労働省「第2表.xls」
対象:介護老人保健施設/1施設・事業所当たり
単位:特記なき数値は 月額(決算額÷12)・円。比率は%。年額換算は本レポートによる×12の参考値。
有効回答数:令和3年度決算 591件 / 令和4年度決算 611件 / 令和5年度決算 475件 / 令和6年度決算 475件
エグゼクティブサマリー
本レポートは、厚生労働省「第2表.xls」に基づき、介護老人保健施設1施設当たりの経営指標を令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移で追跡したものである。読み取れる構造は次の点に集約される。
- 収入の伸びが支出の伸びを上回った。令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は3.5%、支出は2.2%増加しました。 本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
- 差引の水準と余裕度。差引は225,558円/月、収入に対する比率は0.6%です。前年度比では196.5%増加しました。 小幅な収入減や費用増で赤字化し得る水準として、余力を過大評価しないことが重要です。
- 補助金を含む差引は前年度から拡大した。補助金を含む差引は307,355円/月で、前年度から742.8%増加しました。 本業の差引に対する補助金の規模は約36%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
収支は改善方向ですが、差引比率0.6%は厚い余力とはいえません。まず自施設の同一定義の数値と比較し、収入確保、費用増、補助金影響を分けて確認してください。
1. 収入の伸びが支出の伸びを上回った
令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は3.5%、支出は2.2%増加しました。
| 科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 | R初→直近変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事業収益(小計) | 35,303,658 | 35,414,666 | 36,442,424 | 37,717,067 | +6.8% |
| 介護事業費用(小計) | 34,638,504 | 35,660,730 | 36,576,517 | 37,392,312 | +8.0% |
| 収支差額(差引ウ) | 533,214 | -382,107 | -233,737 | 225,558 | -57.7% |
| 収支差率(ウ) | 1.5% | -1.1% | -0.6% | 0.6% | -0.9pt |
本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
2. 差引の水準と余裕度
差引は225,558円/月、収入に対する比率は0.6%です。前年度比では196.5%増加しました。
| 指標(月額・円/%) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 収支差額(ウ・本業) | 533,214 | -382,107 | -233,737 | 225,558 |
| イ・ロ補助金計 | 134,689 | 393,987 | 185,920 | 81,797 |
| 差引(エ・補助金込み) | 667,902 | 11,880 | -47,817 | 307,355 |
| 収支差率(エ) | 1.9% | 0.0% | -0.1% | 0.8% |
小幅な収入減や費用増で赤字化し得る水準として、余力を過大評価しないことが重要です。
補助金を含む差引は前年度から拡大した:補助金を含む差引は307,355円/月で、前年度から742.8%増加しました。
本業の差引に対する補助金の規模は約36%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
3. 費用構造 ── 人件費と物価高の圧力
| 費用科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 給与費 | 21,958,246 | 24,238,610 | +10.4% |
| 減価償却費 | 1,562,814 | 1,517,412 | -2.9% |
| その他費用 | 11,117,444 | 11,636,291 | +4.7% |
費用構造では、給与費の伸び(+10.4%)とその他費用(委託費・水光熱等)の伸び(+4.7%)が並行して推移した。物価・エネルギー高騰が直接費用に波及した可能性に留意する必要がある。
4. 給与費が費用構造の中心
令和6年度決算の給与費比率は64.3%です。
| 常勤・1人当たり給与費(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員1人当たり給与費(全体) | 390,251 | 424,073 | +8.7% |
| 介護福祉士(常勤) | 377,606 | 420,227 | +11.3% |
| 介護職員(常勤) | 359,829 | 399,076 | +10.9% |
| 看護師(常勤) | 462,955 | 493,627 | +6.6% |
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 給与費比率 | 62.2% | 64.2% | 65.0% | 64.3% |
単純な人件費削減ではなく、配置、稼働、加算取得、職員1人当たり指標を合わせて検討すべきです。
注意:本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
5. 規模・生産性 ── 定員・職員数に変化
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 定員(人) | 87.6 | 88.4 | +0.9% |
| 延べ利用者数(人) | 2,478.1 | 2,445.7 | -1.3% |
| 常勤換算職員数(人) | 55.2 | 57.6 | +4.3% |
| 利用者1人当たり収入(円) | 14,246 | 15,422 | +8.3% |
| 利用者1人当たり支出(円) | 14,031 | 15,330 | +9.3% |
介護老人保健施設の令和3年度決算から令和6年度決算にかけて、定員は+0.9%、常勤換算職員数は+4.3%変化した。収支の変動を評価する際は、この施設規模の変化と介護報酬・補助金単価・コスト構造の変化を分けて確認する必要がある。
主要指標 一覧表(月額・1施設当たり)
| 科目 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 【収支】 | ||||
| 介護事業収益(小計) | 35,303,658 | 35,414,666 | 36,442,424 | 37,717,067 |
| 介護事業費用(小計) | 34,638,504 | 35,660,730 | 36,576,517 | 37,392,312 |
| 収支差額(ウ) | 533,214 | -382,107 | -233,737 | 225,558 |
| 収支差率(ウ) | 1.5% | -1.1% | -0.6% | 0.6% |
| 差引(エ・補助金込み) | 667,902 | 11,880 | -47,817 | 307,355 |
| 収支差率(エ) | 1.9% | 0.0% | -0.1% | 0.8% |
| 【費用内訳】 | ||||
| 給与費 | 21,958,246 | 22,727,654 | 23,702,829 | 24,238,610 |
| 給与費比率 | 62.2% | 64.2% | 65.0% | 64.3% |
| 減価償却費 | 1,562,814 | 1,588,680 | 1,476,474 | 1,517,412 |
| その他費用 | 11,117,444 | 11,344,396 | 11,397,214 | 11,636,291 |
| 【収益内訳】 | ||||
| 介護料収入 | 29,136,441 | 29,826,094 | 30,675,159 | 31,758,487 |
| 利用者等利用料収入 | 6,194,811 | 5,421,437 | 5,711,130 | 5,875,410 |
| 補助金収入(イ・ロ除く) | - | 188,325 | 76,731 | 107,384 |
| イ・ロ補助金計 | 134,689 | 393,987 | 185,920 | 81,797 |
| 【人件費・処遇】 | ||||
| 常勤換算職員1人当たり給与費 | 390,251 | 401,013 | 424,073 | 424,073 |
| 介護福祉士 給与費(常勤) | 377,606 | 405,016 | 420,227 | 420,227 |
| 介護職員 給与費(常勤) | 359,829 | 375,081 | 399,076 | 399,076 |
| 看護師 給与費(常勤) | 462,955 | 469,573 | 493,627 | 493,627 |
| 【規模・運営】 | ||||
| 定員(人) | 87.6 | 87.7 | 88.4 | 88.4 |
| 延べ利用者数(人) | 2,478.1 | 2,598.0 | 2,445.7 | 2,445.7 |
| 常勤換算職員数(人) | 55.2 | 56.2 | 57.6 | 57.6 |
| 利用者1人当たり収入(補助金除く) | 14,246 | 13,632 | 15,422 | 15,422 |
| 利用者1人当たり支出 | 14,031 | 13,779 | 15,330 | 15,330 |
| 有効回答数 | 591 | 611 | 475 | 475 |
経営・政策インプリケーション
- 自施設の月額収入・支出・差引比率を同じ定義で算出し、集計平均と比較する。
- 収入の増減を介護料、利用料、補助金に分け、恒常収益の伸びを確認する。
- 給与費は削減額だけで判断せず、利用者数、職員数、加算取得、1人当たり指標と併記する。
- 単年度平均だけで結論を出さず、月次推移と施設類型・規模別比較を追加する。
注記・出典
- 本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
- 各金額は決算額を12で除した月額で、表章単位未満の丸めにより内訳が一致しない場合があります。
- 年度間の差は要因の存在を示しますが、制度改定や人員配置などの因果関係までは特定できません。
- 最新年度の有効回答数は475件です。母集団への代表性は別途確認が必要です。
原典:厚生労働省「第2表.xls」
作成:AUL(aul-dox.jp)/本レポートは公的統計を分析・可視化した二次的著作物であり、数値の正確性は原典に依拠する。
生成日時: 2026-07-20 17:07