訪問看護経営分析レポート
令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移
出典:厚生労働省「第6表.xls」
対象:訪問看護/1施設・事業所当たり
単位:特記なき数値は 月額(決算額÷12)・円。比率は%。年額換算は本レポートによる×12の参考値。
有効回答数:令和3年度決算 228件 / 令和4年度決算 604件 / 令和5年度決算 254件 / 令和6年度決算 254件
エグゼクティブサマリー
本レポートは、厚生労働省「第6表.xls」に基づき、訪問看護1施設当たりの経営指標を令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移で追跡したものである。読み取れる構造は次の点に集約される。
- 支出の伸びが収入の伸びを上回った。令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は4.8%、支出は6.7%増加しました。 費用増が収入増を上回っており、収支圧迫要因の費目別の特定が必要です。
- 差引は黒字を維持しているが縮小した。差引は358,412円/月、収入に対する比率は10.3%です。前年度比では-9.4%減少しました。 黒字は維持していますが縮小傾向にあり、要因を早めに特定して悪化を防ぐことが重要です。
- 補助金を含む差引は前年度から縮小した。補助金を含む差引は359,816円/月で、前年度から9.6%減少しました。 本業の差引に対する補助金の規模は約0%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
費用増が収入増を上回っており、差引比率10.3%はさらなる圧迫を受けるリスクがあります。収入内訳と費用費目を分けて原因を特定し、自施設との比較を優先してください。
1. 支出の伸びが収入の伸びを上回った
令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は4.8%、支出は6.7%増加しました。
| 科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 | R初→直近変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事業収益(小計) | 3,007,315 | 3,066,091 | 3,317,722 | 3,476,285 | +15.6% |
| 介護事業費用(小計) | 2,787,596 | 2,882,515 | 2,918,966 | 3,114,354 | +11.7% |
| 収支差額(差引ウ) | 216,278 | 180,038 | 395,574 | 358,412 | +65.7% |
| 収支差率(ウ) | 7.2% | 5.9% | 11.9% | 10.3% | +3.1pt |
費用増が収入増を上回っており、収支圧迫要因の費目別の特定が必要です。
2. 差引は黒字を維持しているが縮小した
差引は358,412円/月、収入に対する比率は10.3%です。前年度比では-9.4%減少しました。
| 指標(月額・円/%) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 収支差額(ウ・本業) | 216,278 | 180,038 | 395,574 | 358,412 |
| イ・ロ補助金計 | 11,952 | 9,699 | 2,235 | 1,405 |
| 差引(エ・補助金込み) | 228,230 | 189,736 | 397,809 | 359,816 |
| 収支差率(エ) | 7.6% | 6.2% | 12.0% | 10.3% |
黒字は維持していますが縮小傾向にあり、要因を早めに特定して悪化を防ぐことが重要です。
補助金を含む差引は前年度から縮小した:補助金を含む差引は359,816円/月で、前年度から9.6%減少しました。
本業の差引に対する補助金の規模は約0%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
3. 費用構造 ── 人件費と物価高の圧力
| 費用科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 給与費 | 2,221,341 | 2,436,907 | +9.7% |
| 減価償却費 | 41,254 | 47,850 | +16.0% |
| その他費用 | 525,000 | 629,598 | +19.9% |
費用構造では、給与費の伸び(+9.7%)とその他費用(委託費・水光熱等)の伸び(+19.9%)が並行して推移した。物価・エネルギー高騰が直接費用に波及した可能性に留意する必要がある。
4. 給与費が費用構造の中心
令和6年度決算の給与費比率は70.1%です。
| 常勤・1人当たり給与費(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員1人当たり給与費(全体) | 423,281 | 438,027 | +3.5% |
| 看護師(常勤) | 452,951 | 470,844 | +4.0% |
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 給与費比率 | 73.9% | 74.6% | 68.7% | 70.1% |
単純な人件費削減ではなく、配置、稼働、加算取得、職員1人当たり指標を合わせて検討すべきです。
注意:本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
5. 規模・生産性 ── 定員・職員数に変化
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員数(人) | 7.0 | 8.6 | +22.9% |
訪問看護の令和3年度決算から令和6年度決算にかけて、常勤換算職員数は+22.9%変化した。収支の変動を評価する際は、この施設規模の変化と介護報酬・補助金単価・コスト構造の変化を分けて確認する必要がある。
主要指標 一覧表(月額・1施設当たり)
| 科目 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 【収支】 | ||||
| 介護事業収益(小計) | 3,007,315 | 3,066,091 | 3,317,722 | 3,476,285 |
| 介護事業費用(小計) | 2,787,596 | 2,882,515 | 2,918,966 | 3,114,354 |
| 収支差額(ウ) | 216,278 | 180,038 | 395,574 | 358,412 |
| 収支差率(ウ) | 7.2% | 5.9% | 11.9% | 10.3% |
| 差引(エ・補助金込み) | 228,230 | 189,736 | 397,809 | 359,816 |
| 収支差率(エ) | 7.6% | 6.2% | 12.0% | 10.3% |
| 【費用内訳】 | ||||
| 給与費 | 2,221,341 | 2,286,932 | 2,279,459 | 2,436,907 |
| 給与費比率 | 73.9% | 74.6% | 68.7% | 70.1% |
| 減価償却費 | 41,254 | 40,421 | 45,692 | 47,850 |
| その他費用 | 525,000 | 555,162 | 593,815 | 629,598 |
| 【収益内訳】 | ||||
| 介護料収入 | 2,963,716 | 3,008,773 | 3,251,251 | 3,409,123 |
| 利用者等利用料収入 | 45,850 | 60,445 | 68,188 | 68,589 |
| イ・ロ補助金計 | 11,952 | 9,699 | 2,235 | 1,405 |
| 【人件費・処遇】 | ||||
| 常勤換算職員1人当たり給与費 | 423,281 | 439,859 | 438,027 | 438,027 |
| 看護師 給与費(常勤) | 452,951 | 463,927 | 470,844 | 470,844 |
| 【規模・運営】 | ||||
| 常勤換算職員数(人) | 7.0 | 7.9 | 8.6 | 8.6 |
| 有効回答数 | 228 | 604 | 254 | 254 |
経営・政策インプリケーション
- 自施設の月額収入・支出・差引比率を同じ定義で算出し、集計平均と比較する。
- 収入の増減を介護料、利用料、補助金に分け、恒常収益の伸びを確認する。
- 給与費は削減額だけで判断せず、利用者数、職員数、加算取得、1人当たり指標と併記する。
- 単年度平均だけで結論を出さず、月次推移と施設類型・規模別比較を追加する。
注記・出典
- 本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
- 各金額は決算額を12で除した月額で、表章単位未満の丸めにより内訳が一致しない場合があります。
- 年度間の差は要因の存在を示しますが、制度改定や人員配置などの因果関係までは特定できません。
- 最新年度の有効回答数は254件です。母集団への代表性は別途確認が必要です。
原典:厚生労働省「第6表.xls」
作成:AUL(aul-dox.jp)/本レポートは公的統計を分析・可視化した二次的著作物であり、数値の正確性は原典に依拠する。
生成日時: 2026-07-20 17:07