通所介護経営分析レポート
令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移
出典:厚生労働省「第8表.xls」
対象:通所介護/1施設・事業所当たり
単位:特記なき数値は 月額(決算額÷12)・円。比率は%。年額換算は本レポートによる×12の参考値。
有効回答数:令和3年度決算 475件 / 令和4年度決算 1,205件 / 令和5年度決算 433件 / 令和6年度決算 433件
エグゼクティブサマリー
本レポートは、厚生労働省「第8表.xls」に基づき、通所介護1施設当たりの経営指標を令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移で追跡したものである。読み取れる構造は次の点に集約される。
- 支出の伸びが収入の伸びを上回った。令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は1.7%、支出は2.0%増加しました。 費用増が収入増を上回っており、収支圧迫要因の費目別の特定が必要です。
- 差引は黒字を維持しているが縮小した。差引は370,727円/月、収入に対する比率は6.2%です。前年度比では-2.7%減少しました。 黒字は維持していますが縮小傾向にあり、要因を早めに特定して悪化を防ぐことが重要です。
- 補助金を含む差引は前年度から縮小した。補助金を含む差引は379,262円/月で、前年度から5.1%減少しました。 本業の差引に対する補助金の規模は約2%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
費用増が収入増を上回っており、差引比率6.2%はさらなる圧迫を受けるリスクがあります。収入内訳と費用費目を分けて原因を特定し、自施設との比較を優先してください。
1. 支出の伸びが収入の伸びを上回った
令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は1.7%、支出は2.0%増加しました。
| 科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 | R初→直近変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事業収益(小計) | 5,468,674 | 5,455,256 | 5,824,616 | 5,925,049 | +8.3% |
| 介護事業費用(小計) | 5,297,542 | 5,223,549 | 5,303,521 | 5,412,631 | +2.2% |
| 収支差額(差引ウ) | 38,868 | 80,626 | 381,147 | 370,727 | +853.8% |
| 収支差率(ウ) | 0.7% | 1.5% | 6.5% | 6.2% | +5.5pt |
費用増が収入増を上回っており、収支圧迫要因の費目別の特定が必要です。
2. 差引は黒字を維持しているが縮小した
差引は370,727円/月、収入に対する比率は6.2%です。前年度比では-2.7%減少しました。
| 指標(月額・円/%) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 収支差額(ウ・本業) | 38,868 | 80,626 | 381,147 | 370,727 |
| イ・ロ補助金計 | 13,788 | 18,344 | 18,399 | 8,536 |
| 差引(エ・補助金込み) | 52,657 | 98,971 | 399,546 | 379,262 |
| 収支差率(エ) | 1.0% | 1.8% | 6.8% | 6.4% |
黒字は維持していますが縮小傾向にあり、要因を早めに特定して悪化を防ぐことが重要です。
補助金を含む差引は前年度から縮小した:補助金を含む差引は379,262円/月で、前年度から5.1%減少しました。
本業の差引に対する補助金の規模は約2%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
3. 費用構造 ── 人件費と物価高の圧力
| 費用科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 給与費 | 3,548,541 | 3,612,581 | +1.8% |
| 減価償却費 | 233,512 | 225,416 | -3.5% |
| その他費用 | 1,549,639 | 1,605,031 | +3.6% |
費用構造では、給与費の伸び(+1.8%)とその他費用(委託費・水光熱等)の伸び(+3.6%)が並行して推移した。物価・エネルギー高騰が直接費用に波及した可能性に留意する必要がある。
4. 給与費が費用構造の中心
令和6年度決算の給与費比率は60.9%です。
| 常勤・1人当たり給与費(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員1人当たり給与費(全体) | 312,376 | 343,936 | +10.1% |
| 介護福祉士(常勤) | 327,060 | 343,055 | +4.9% |
| 介護職員(常勤) | 308,171 | 325,603 | +5.7% |
| 看護師(常勤) | 372,883 | 377,597 | +1.3% |
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 給与費比率 | 64.8% | 63.8% | 60.7% | 60.9% |
単純な人件費削減ではなく、配置、稼働、加算取得、職員1人当たり指標を合わせて検討すべきです。
注意:本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
5. 規模・生産性 ── 定員・職員数に変化
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 延べ利用者数(人) | 591.7 | 639.3 | +8.0% |
| 常勤換算職員数(人) | 10.8 | 10.3 | -4.6% |
| 利用者1人当たり収入(円) | 9,247 | 9,284 | +0.4% |
| 利用者1人当たり支出(円) | 9,182 | 8,704 | -5.2% |
通所介護の令和3年度決算から令和6年度決算にかけて、常勤換算職員数は-4.6%変化した。収支の変動を評価する際は、この施設規模の変化と介護報酬・補助金単価・コスト構造の変化を分けて確認する必要がある。
主要指標 一覧表(月額・1施設当たり)
| 科目 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 【収支】 | ||||
| 介護事業収益(小計) | 5,468,674 | 5,455,256 | 5,824,616 | 5,925,049 |
| 介護事業費用(小計) | 5,297,542 | 5,223,549 | 5,303,521 | 5,412,631 |
| 収支差額(ウ) | 38,868 | 80,626 | 381,147 | 370,727 |
| 収支差率(ウ) | 0.7% | 1.5% | 6.5% | 6.2% |
| 差引(エ・補助金込み) | 52,657 | 98,971 | 399,546 | 379,262 |
| 収支差率(エ) | 1.0% | 1.8% | 6.8% | 6.4% |
| 【費用内訳】 | ||||
| 給与費 | 3,548,541 | 3,486,384 | 3,545,096 | 3,612,581 |
| 給与費比率 | 64.8% | 63.8% | 60.7% | 60.9% |
| 減価償却費 | 233,512 | 207,235 | 221,105 | 225,416 |
| その他費用 | 1,549,639 | 1,564,174 | 1,569,058 | 1,605,031 |
| 【収益内訳】 | ||||
| 介護料収入 | 5,129,501 | 5,087,439 | 5,395,407 | 5,480,879 |
| 利用者等利用料収入 | 331,541 | 324,953 | 396,593 | 406,162 |
| 補助金収入(イ・ロ除く) | 8,054 | 44,355 | 32,880 | 38,425 |
| イ・ロ補助金計 | 13,788 | 18,344 | 18,399 | 8,536 |
| 【人件費・処遇】 | ||||
| 常勤換算職員1人当たり給与費 | 312,376 | 314,369 | 343,936 | 343,936 |
| 介護福祉士 給与費(常勤) | 327,060 | 339,176 | 343,055 | 343,055 |
| 介護職員 給与費(常勤) | 308,171 | 313,560 | 325,603 | 325,603 |
| 看護師 給与費(常勤) | 372,883 | 375,327 | 377,597 | 377,597 |
| 【規模・運営】 | ||||
| 延べ利用者数(人) | 591.7 | 584.8 | 639.3 | 639.3 |
| 常勤換算職員数(人) | 10.8 | 10.3 | 10.3 | 10.3 |
| 利用者1人当たり収入(補助金除く) | 9,247 | 9,338 | 9,284 | 9,284 |
| 利用者1人当たり支出 | 9,182 | 9,200 | 8,704 | 8,704 |
| 有効回答数 | 475 | 1,205 | 433 | 433 |
経営・政策インプリケーション
- 自施設の月額収入・支出・差引比率を同じ定義で算出し、集計平均と比較する。
- 収入の増減を介護料、利用料、補助金に分け、恒常収益の伸びを確認する。
- 給与費は削減額だけで判断せず、利用者数、職員数、加算取得、1人当たり指標と併記する。
- 単年度平均だけで結論を出さず、月次推移と施設類型・規模別比較を追加する。
注記・出典
- 本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
- 各金額は決算額を12で除した月額で、表章単位未満の丸めにより内訳が一致しない場合があります。
- 年度間の差は要因の存在を示しますが、制度改定や人員配置などの因果関係までは特定できません。
- 最新年度の有効回答数は433件です。母集団への代表性は別途確認が必要です。
原典:厚生労働省「第8表.xls」
作成:AUL(aul-dox.jp)/本レポートは公的統計を分析・可視化した二次的著作物であり、数値の正確性は原典に依拠する。
生成日時: 2026-07-20 17:08