小規模多機能型居宅介護経営分析レポート
令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移
出典:厚生労働省「第18表.xls」
対象:小規模多機能型居宅介護/1施設・事業所当たり
単位:特記なき数値は 月額(決算額÷12)・円。比率は%。年額換算は本レポートによる×12の参考値。
有効回答数:令和3年度決算 237件 / 令和4年度決算 1,348件 / 令和5年度決算 239件 / 令和6年度決算 239件
エグゼクティブサマリー
本レポートは、厚生労働省「第18表.xls」に基づき、小規模多機能型居宅介護1施設当たりの経営指標を令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移で追跡したものである。読み取れる構造は次の点に集約される。
- 収入の伸びが支出の伸びを上回った。令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は3.2%、支出は2.3%増加しました。 本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
- 差引は相対的に安定した水準にある。差引は329,362円/月、収入に対する比率は6.0%です。前年度比では19.8%増加しました。 現時点で大きな懸念はありませんが、費用構造の変化を継続的に確認し、余力を過信しないことが重要です。
- 補助金を含む差引は前年度から拡大した。補助金を含む差引は337,685円/月で、前年度から15.1%増加しました。 本業の差引に対する補助金の規模は約2%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
収支は改善方向ですが、差引比率6.0%は厚い余力とはいえません。まず自施設の同一定義の数値と比較し、収入確保、費用増、補助金影響を分けて確認してください。
1. 収入の伸びが支出の伸びを上回った
令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は3.2%、支出は2.3%増加しました。
| 科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 | R初→直近変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事業収益(小計) | 5,169,728 | 5,574,004 | 5,291,420 | 5,460,742 | +5.6% |
| 介護事業費用(小計) | 4,824,480 | 5,257,243 | 4,913,698 | 5,031,582 | +4.3% |
| 収支差額(差引ウ) | 236,789 | 196,621 | 275,005 | 329,362 | +39.1% |
| 収支差率(ウ) | 4.6% | 3.5% | 5.2% | 6.0% | +1.4pt |
本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
2. 差引は相対的に安定した水準にある
差引は329,362円/月、収入に対する比率は6.0%です。前年度比では19.8%増加しました。
| 指標(月額・円/%) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 収支差額(ウ・本業) | 236,789 | 196,621 | 275,005 | 329,362 |
| イ・ロ補助金計 | 8,153 | 19,812 | 18,417 | 8,323 |
| 差引(エ・補助金込み) | 244,941 | 216,433 | 293,423 | 337,685 |
| 収支差率(エ) | 4.7% | 3.9% | 5.5% | 6.2% |
現時点で大きな懸念はありませんが、費用構造の変化を継続的に確認し、余力を過信しないことが重要です。
補助金を含む差引は前年度から拡大した:補助金を含む差引は337,685円/月で、前年度から15.1%増加しました。
本業の差引に対する補助金の規模は約2%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
3. 費用構造 ── 人件費と物価高の圧力
| 費用科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 給与費 | 3,500,512 | 3,648,923 | +4.2% |
| 減価償却費 | 188,169 | 185,442 | -1.4% |
| その他費用 | 1,162,164 | 1,224,875 | +5.4% |
費用構造では、給与費の伸び(+4.2%)とその他費用(委託費・水光熱等)の伸び(+5.4%)が並行して推移した。物価・エネルギー高騰が直接費用に波及した可能性に留意する必要がある。
4. 給与費が費用構造の中心
令和6年度決算の給与費比率は66.7%です。
| 常勤・1人当たり給与費(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員1人当たり給与費(全体) | 317,927 | 344,935 | +8.5% |
| 介護福祉士(常勤) | 352,385 | 372,751 | +5.8% |
| 介護職員(常勤) | 321,172 | 351,424 | +9.4% |
| 看護師(常勤) | 394,189 | 366,066 | -7.1% |
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 給与費比率 | 67.6% | 67.7% | 67.6% | 66.7% |
単純な人件費削減ではなく、配置、稼働、加算取得、職員1人当たり指標を合わせて検討すべきです。
注意:本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
5. 規模・生産性 ── 定員・職員数はほぼ横ばい
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 延べ利用者数(人) | 660.7 | 575.1 | -13.0% |
| 実利用者数(人) | 22.0 | 21.4 | -2.7% |
| 常勤換算職員数(人) | 10.4 | 10.1 | -2.9% |
小規模多機能型居宅介護の定員・常勤換算職員数は令和3年度決算から令和6年度決算にかけて概ね横ばいであり、収支の変動は施設規模の拡縮によるものではなく、介護報酬・補助金単価とコスト構造の変化によって決まっていることがわかる。
主要指標 一覧表(月額・1施設当たり)
| 科目 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 【収支】 | ||||
| 介護事業収益(小計) | 5,169,728 | 5,574,004 | 5,291,420 | 5,460,742 |
| 介護事業費用(小計) | 4,824,480 | 5,257,243 | 4,913,698 | 5,031,582 |
| 収支差額(ウ) | 236,789 | 196,621 | 275,005 | 329,362 |
| 収支差率(ウ) | 4.6% | 3.5% | 5.2% | 6.0% |
| 差引(エ・補助金込み) | 244,941 | 216,433 | 293,423 | 337,685 |
| 収支差率(エ) | 4.7% | 3.9% | 5.5% | 6.2% |
| 【費用内訳】 | ||||
| 給与費 | 3,500,512 | 3,779,670 | 3,585,133 | 3,648,923 |
| 給与費比率 | 67.6% | 67.7% | 67.6% | 66.7% |
| 減価償却費 | 188,169 | 218,663 | 187,456 | 185,442 |
| その他費用 | 1,162,164 | 1,289,442 | 1,171,458 | 1,224,875 |
| 【収益内訳】 | ||||
| 介護料収入 | 4,453,942 | 4,757,235 | 4,438,275 | 4,574,200 |
| 利用者等利用料収入 | 713,301 | 766,333 | 817,301 | 844,126 |
| 補助金収入(イ・ロ除く) | 2,832 | 51,325 | 37,476 | 43,221 |
| イ・ロ補助金計 | 8,153 | 19,812 | 18,417 | 8,323 |
| 【人件費・処遇】 | ||||
| 常勤換算職員1人当たり給与費 | 317,927 | 322,518 | 344,935 | 344,935 |
| 介護福祉士 給与費(常勤) | 352,385 | 363,694 | 372,751 | 372,751 |
| 介護職員 給与費(常勤) | 321,172 | 333,158 | 351,424 | 351,424 |
| 看護師 給与費(常勤) | 394,189 | 390,028 | 366,066 | 366,066 |
| 【規模・運営】 | ||||
| 延べ利用者数(人) | 660.7 | 565.8 | 575.1 | 575.1 |
| 実利用者数(人) | 22.0 | 21.1 | 21.4 | 21.4 |
| 常勤換算職員数(人) | 10.4 | 10.5 | 10.1 | 10.1 |
| 有効回答数 | 237 | 1,348 | 239 | 239 |
経営・政策インプリケーション
- 自施設の月額収入・支出・差引比率を同じ定義で算出し、集計平均と比較する。
- 収入の増減を介護料、利用料、補助金に分け、恒常収益の伸びを確認する。
- 給与費は削減額だけで判断せず、利用者数、職員数、加算取得、1人当たり指標と併記する。
- 単年度平均だけで結論を出さず、月次推移と施設類型・規模別比較を追加する。
注記・出典
- 本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
- 各金額は決算額を12で除した月額で、表章単位未満の丸めにより内訳が一致しない場合があります。
- 年度間の差は要因の存在を示しますが、制度改定や人員配置などの因果関係までは特定できません。
- 最新年度の有効回答数は239件です。母集団への代表性は別途確認が必要です。
原典:厚生労働省「第18表.xls」
作成:AUL(aul-dox.jp)/本レポートは公的統計を分析・可視化した二次的著作物であり、数値の正確性は原典に依拠する。
生成日時: 2026-07-20 17:08