認知症対応型共同生活介護経営分析レポート
令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移
出典:厚生労働省「第19表.xls」
対象:認知症対応型共同生活介護/1施設・事業所当たり
単位:特記なき数値は 月額(決算額÷12)・円。比率は%。年額換算は本レポートによる×12の参考値。
有効回答数:令和3年度決算 351件 / 令和4年度決算 584件 / 令和5年度決算 326件 / 令和6年度決算 326件
エグゼクティブサマリー
本レポートは、厚生労働省「第19表.xls」に基づき、認知症対応型共同生活介護1施設当たりの経営指標を令和3年度決算〜令和6年度決算の4か年推移で追跡したものである。読み取れる構造は次の点に集約される。
- 収入の伸びが支出の伸びを上回った。令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は1.7%、支出は1.4%増加しました。 本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
- 差引は相対的に安定した水準にある。差引は333,129円/月、収入に対する比率は4.9%です。前年度比では9.2%増加しました。 現時点で大きな懸念はありませんが、費用構造の変化を継続的に確認し、余力を過信しないことが重要です。
- 補助金を含む差引は前年度から拡大した。補助金を含む差引は350,002円/月で、前年度から2.8%増加しました。 本業の差引に対する補助金の規模は約5%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
収支は改善方向ですが、差引比率4.9%は厚い余力とはいえません。まず自施設の同一定義の数値と比較し、収入確保、費用増、補助金影響を分けて確認してください。
1. 収入の伸びが支出の伸びを上回った
令和5年度決算から令和6年度決算に、収入は1.7%、支出は1.4%増加しました。
| 科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 | R初→直近変化 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護事業収益(小計) | 6,018,874 | 6,324,900 | 6,683,284 | 6,808,003 | +13.1% |
| 介護事業費用(小計) | 5,603,884 | 5,920,855 | 6,203,481 | 6,286,525 | +12.2% |
| 収支差額(差引ウ) | 288,867 | 224,130 | 304,928 | 333,129 | +15.3% |
| 収支差率(ウ) | 4.8% | 3.5% | 4.5% | 4.9% | +0.1pt |
本業の収支改善方向は確認できますが、伸び率の差は小さく継続確認が必要です。
2. 差引は相対的に安定した水準にある
差引は333,129円/月、収入に対する比率は4.9%です。前年度比では9.2%増加しました。
| 指標(月額・円/%) | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 収支差額(ウ・本業) | 288,867 | 224,130 | 304,928 | 333,129 |
| イ・ロ補助金計 | 8,773 | 25,576 | 35,513 | 16,873 |
| 差引(エ・補助金込み) | 297,640 | 249,706 | 340,441 | 350,002 |
| 収支差率(エ) | 4.9% | 3.9% | 5.1% | 5.1% |
現時点で大きな懸念はありませんが、費用構造の変化を継続的に確認し、余力を過信しないことが重要です。
補助金を含む差引は前年度から拡大した:補助金を含む差引は350,002円/月で、前年度から2.8%増加しました。
本業の差引に対する補助金の規模は約5%にとどまり、比較的自立した収支構造です。恒常収益での安定性は引き続き確認してください。
3. 費用構造 ── 人件費と物価高の圧力
| 費用科目(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 給与費 | 3,840,039 | 4,330,531 | +12.8% |
| 減価償却費 | 223,328 | 236,569 | +5.9% |
| その他費用 | 1,570,605 | 1,744,793 | +11.1% |
費用構造では、給与費の伸び(+12.8%)とその他費用(委託費・水光熱等)の伸び(+11.1%)が並行して推移した。物価・エネルギー高騰が直接費用に波及した可能性に留意する必要がある。
4. 給与費が費用構造の中心
令和6年度決算の給与費比率は63.5%です。
| 常勤・1人当たり給与費(月額・円) | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 常勤換算職員1人当たり給与費(全体) | 310,658 | 339,426 | +9.3% |
| 介護福祉士(常勤) | 337,948 | 361,854 | +7.1% |
| 介護職員(常勤) | 312,908 | 339,241 | +8.4% |
| 看護師(常勤) | 379,779 | 389,638 | +2.6% |
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 給与費比率 | 63.7% | 64.0% | 63.4% | 63.5% |
単純な人件費削減ではなく、配置、稼働、加算取得、職員1人当たり指標を合わせて検討すべきです。
注意:本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
5. 規模・生産性 ── 定員・職員数に変化
| 指標 | 令和3年度決算 | 令和6年度決算 | 変化 |
|---|---|---|---|
| 定員(人) | 15.4 | 16.0 | +3.9% |
| 延べ利用者数(人) | 441.8 | 440.9 | -0.2% |
| 常勤換算職員数(人) | 11.6 | 12.4 | +6.9% |
| 利用者1人当たり収入(円) | 13,643 | 15,467 | +13.4% |
| 利用者1人当たり支出(円) | 12,989 | 14,712 | +13.3% |
認知症対応型共同生活介護の令和3年度決算から令和6年度決算にかけて、定員は+3.9%、常勤換算職員数は+6.9%変化した。収支の変動を評価する際は、この施設規模の変化と介護報酬・補助金単価・コスト構造の変化を分けて確認する必要がある。
主要指標 一覧表(月額・1施設当たり)
| 科目 | 令和3年度決算 | 令和4年度決算 | 令和5年度決算 | 令和6年度決算 |
|---|---|---|---|---|
| 【収支】 | ||||
| 介護事業収益(小計) | 6,018,874 | 6,324,900 | 6,683,284 | 6,808,003 |
| 介護事業費用(小計) | 5,603,884 | 5,920,855 | 6,203,481 | 6,286,525 |
| 収支差額(ウ) | 288,867 | 224,130 | 304,928 | 333,129 |
| 収支差率(ウ) | 4.8% | 3.5% | 4.5% | 4.9% |
| 差引(エ・補助金込み) | 297,640 | 249,706 | 340,441 | 350,002 |
| 収支差率(エ) | 4.9% | 3.9% | 5.1% | 5.1% |
| 【費用内訳】 | ||||
| 給与費 | 3,840,039 | 4,049,577 | 4,252,619 | 4,330,531 |
| 給与費比率 | 63.7% | 64.0% | 63.4% | 63.5% |
| 減価償却費 | 223,328 | 226,123 | 244,427 | 236,569 |
| その他費用 | 1,570,605 | 1,668,172 | 1,731,107 | 1,744,793 |
| 【収益内訳】 | ||||
| 介護料収入 | 4,384,777 | 4,676,038 | 4,882,398 | 4,971,466 |
| 利用者等利用料収入 | 1,630,200 | 1,605,078 | 1,753,857 | 1,790,157 |
| 補助金収入(イ・ロ除く) | 4,391 | 50,733 | 49,011 | 48,277 |
| イ・ロ補助金計 | 8,773 | 25,576 | 35,513 | 16,873 |
| 【人件費・処遇】 | ||||
| 常勤換算職員1人当たり給与費 | 310,658 | 327,577 | 339,426 | 339,426 |
| 介護福祉士 給与費(常勤) | 337,948 | 355,750 | 361,854 | 361,854 |
| 介護職員 給与費(常勤) | 312,908 | 336,388 | 339,241 | 339,241 |
| 看護師 給与費(常勤) | 379,779 | 379,127 | 389,638 | 389,638 |
| 【規模・運営】 | ||||
| 定員(人) | 15.4 | 15.8 | 16.0 | 16.0 |
| 延べ利用者数(人) | 441.8 | 421.7 | 440.9 | 440.9 |
| 常勤換算職員数(人) | 11.6 | 11.4 | 12.4 | 12.4 |
| 利用者1人当たり収入(補助金除く) | 13,643 | 15,014 | 15,467 | 15,467 |
| 利用者1人当たり支出 | 12,989 | 14,482 | 14,712 | 14,712 |
| 有効回答数 | 351 | 584 | 326 | 326 |
経営・政策インプリケーション
- 自施設の月額収入・支出・差引比率を同じ定義で算出し、集計平均と比較する。
- 収入の増減を介護料、利用料、補助金に分け、恒常収益の伸びを確認する。
- 給与費は削減額だけで判断せず、利用者数、職員数、加算取得、1人当たり指標と併記する。
- 単年度平均だけで結論を出さず、月次推移と施設類型・規模別比較を追加する。
注記・出典
- 本結果は回答施設の集計平均であり、個別施設の経営状態を直接示すものではありません。
- 各金額は決算額を12で除した月額で、表章単位未満の丸めにより内訳が一致しない場合があります。
- 年度間の差は要因の存在を示しますが、制度改定や人員配置などの因果関係までは特定できません。
- 最新年度の有効回答数は326件です。母集団への代表性は別途確認が必要です。
原典:厚生労働省「第19表.xls」
作成:AUL(aul-dox.jp)/本レポートは公的統計を分析・可視化した二次的著作物であり、数値の正確性は原典に依拠する。
生成日時: 2026-07-20 17:08